はじめに
どうもpillolowです。
スピリッツで始まった、鳥飼茜先生の新連載。
『サターンリターン』
本エントリーのタイトルにもありますが、こういう「小説」のような漫画は、なかなか少年誌ではお目にかかれない。
映画化・ドラマ化、既にハマりそうな雰囲気満点です。
1話なので物語の全体像はまだ見えてきません。
でも断言します。
これは名作だ!
いくつか素晴らしいと思った点を中心に、感想を書いていきますね。
美しいカラーページからの暗転、が最高
冒頭、過去の回想シーン。主人公は「中島」という男の運転する車の助手席。
中島は「30歳になる前に俺は死ぬから、生きた証として美しい話を書いてくれ」
と主人公に言います。
ハッとする主人公。車窓から街を見下ろす。
1ページぶち抜きで、「平凡だけれども美しい街並み」が描かれます。
その次のシーン(現在)では、中島が部屋で首を吊り、自殺。
そして真っ黒な見開きで、暗転。
流れが・・・美しい。
これだけで、名作だと分かります。
タイトルが面白い
『サターンリターン』
土星の再来?
が、モヤモヤっと頭に浮かびます…。必死で振り払おう。
どうやら、29歳前後にやってくる占星術上の「試練の年」を表す言葉のようです(詳しくは、ググるか以下のサイトを参照ください)。
29歳前後の頃に訪れる「サターンリターン」を知り本当の意味での大人になる方法 | スピリチュアル How to …
この時期を、主人公はどう乗り越えていくのか。
という物語なんでしょうね。
カラーページにおいて、縦書き2行でタイトルが書かれていますが、
「サターン」と「リターン」が少し重なっているんですよ。
この辺にも意味があるのかな?と深読みしてしまう僕。
「触れ合うも、重なることはなかった」主人公と中島の関係を暗喩しているのかもしれません。
私の人生こんなだっけ?感が共感
5年前に文芸賞を受賞した主人公。今はほぼ専業主婦になってます。
かつて自殺しようとした主人公を止めた夫。
彼との結婚生活は、平凡そのものだけど、それが幸せのような気もする。
でも夫は子を授からないことに、焦っているようだし、主人公の目を盗み缶ビールをあおっている。主人公も気付くけれど、指摘したり喧嘩をするほどでもない。
小説は、5年前から書けない。
平凡な人生に、疑問を感じてしまうこの感じ。
めっちゃ…共感できる。
おわりに
そして、夜更け。
中島の死を知らせる電話が、主人公のもとに。
「…本当に死んじゃった」
主人公は、小説を書き始めるのか?
物語はどこへ向かうのか。
今後が気になって仕方ないです。